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2026.01.07 ブログ

【令和8年度税制改正】40〜50代が知っておくべきポイント

2025年12月19日に発表された令和8年度税制改正大綱の内容は、ミドル世代の皆さんにとって、「攻め」と「守り」の両面でインパクトの大きい内容となりました。

子供にかかる教育費のピークを迎えつつ、老後資金の準備も本格化させたいこの世代。

今回の改正ポイントを正しく理解して、賢く資産を守り、増やしていきましょう。

今回は、特に働き盛りの世代に向けて、注目すべきポイントをお伝えいたします。


1.暗号資産の20%分離課税&損失繰り越し

① 特定暗号資産の「分離課税化」が盛り込まれた

これまで暗号資産(仮想通貨)の利益は「雑所得」として、最大55%という高い税率が課せられていました。

しかし、今回の改正で暗号資産(仮想通貨)の税制が大きく変わる方針が示されました。

一言でいうと、「暗号資産の税金が、株やFXと同じような仕組みになり、利用している人にとって有利になる」という改正です。

変更点

これまでの課税方式(総合課税)

お給料などの他の所得と合計して計算していました。

利益が大きいと税率が上がり、最大で約55%(住民税含む)となっています。

これからの課税方式(分離課税)

他の収入とは切り離して、暗号資産の利益だけに20%(所得税15%・住民税5%など)の税金がかかることになります。

これまでよりも計算がシンプルになり、利益がたくさん出た人ほど、手元に残るお金が増えることになります。

(別途、復興特別所得税として上乗せされるため実質の率は変わります)

参考:国税庁「所得税の税率

参考:東京都主税局:「個人住民税

参考:令和8年度税制改正の大綱(52ページ「(2)金融商品取引法等の改正を前提に、次の措置を講ずる①」)

②「3年間の赤字の繰り越し」ができるようになる

投資には損がつきものですが、これまではその損を翌年に活かせませんでした。

令和8年度税制改正に「特定暗号資産の譲渡等に係る損失の金額については、その翌年以後3年間にわたって、特定暗号資産の譲渡等に係る所得の金額から控除することを認める。」という主旨のものが記載されました。

これは、「今年赤字が出ても、それを翌年以降3年間は持ち越して、利益と相殺していいですよ」というルールを新設するということです。

変更点

これまで

今年100万円損をして、来年100万円儲かっても、来年の100万円には税金がかかりました。

これから

今年出した損を、最長3年間まで貯めておくことができることになります。

来年利益が出たときに、去年の損と相殺して税金を安く(またはゼロに)できます。

参考:令和8年度税制改正の大綱(53ページ③)

※注意:対象となるのはすべての暗号資産ではなく、「特定暗号資産」であることが記載されています。

令和8年度税制改正内に「暗号資産(金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産に限る。以下「特定暗号資産」という。)」とあり、日本の免許(登録)を持っている取引所(金融商品取引業者)で扱われている暗号資産を対象とする、という方向性が示された形になっています。

また、「金融商品取引法等の改正法の施行の日以後」適用となるため、実際の適用は2027年(令和9年)1月1日以降の取引からになる見通しです。

残念ながら、今年(2025年)や来年(2026年)に出た損失を、この新しいルールで将来に繰り越すことはできません。

あくまで「新制度が始まってから出た損失」が対象となりますので、ご注意ください。

2.「住宅ローン減税」中古住宅の優遇

令和8年税制改正において、もともと2025年年末までに入居した人が対象だった住宅ローン減税が、5年延長され2030年末までとなりましたが、住み替えや自宅のリノベーションなどを考える機会が多くなると考えられるミドル世代の方にとっては、中古住宅(既存住宅)への優遇が拡大されたことが注目点と言えるのではないでしょうか。

①「10年」から「13年」へ延長

これまでは、中古住宅を買った場合の減税期間は原則10年間でしたが、省エネ性能が高い中古住宅であれば、新築と同じ13年間に延びます。

②「借入限度額」の引き上げ

住宅ローンのうち「最大いくらまでが減税の対象になるか」という枠が、中古住宅でも拡大されます。

特に省エネ性能が高い物件(ZEH水準※1など)は、より多くの減税を受けられるようになります。

③「少し小さめの家」でも減税が受けやすくなる

これまでは、床面積が「50㎡以上」ないと減税が受けられませんでしたが、今回の改正で中古住宅も「40㎡以上」から対象になります(所得制限あり※2)。

これにより、都市部のコンパクトな中古マンションなどを検討している方も、制度を使いやすくなりました。

※注意:対象となるのは、令和8年(2026年)1月以降に入居した方が対象となります。

また、通常の住宅ローン減税(50㎡以上)の所得制限は「2,000万円以下」です。(※3)

※1:参考:国土交通省「家選びの基準変わります

※2:参考:令和8年度税制改正の大綱(37ページ③)

※3:参考:国土交通省 令和8年度税制改正概要(3ページ)

参考:令和8年度税制改正の大綱(8ページ「④住宅ローン控除の拡充」)

3.インボイス「2割特例」終了へ

事業をやられているミドル世代の方向けとなりますが、インボイス制度が始まって数年。

ようやく慣れてきたという方も多い中、令和8年税制改正で新たな動きがありました。

①「2割特例」は「3割特例」として2年延長へ

免税事業者から課税事業者に転換した際、納税額を売上の2割に抑えられた「2割特例」が、予定通り2026年(令和8年)9月末で終了します。

ここで注目すべきは、納税額の負担軽減措置の継続です。

これまでの「売上税額の20%を納めればOK」というルールは終わりますが、激変緩和措置として新しく「3割特例」が創設される方針となりました。

現行:2割特例(2026年9月末まで)

改正後:3割特例(2026年10月~2028年9月末までの2年間)

納税額は少し増えますが、一気に「本則課税(実額計算)」や「簡易課税」へ移行する前のクッション期間が2年延びた形です。

②「8割控除」も引き上げ延長

インボイス未登録(免税事業者)から仕入れをした際に、消費税の8割を差し引けた「8割控除」の経過措置も変更されます。

本来は2026年10月から「5割控除」に半減する予定でしたが、これが「7割控除」へと引き上げられ、期間も2年延長されます。

改正前スケジュール: 2026年10月から50%控除にダウン

改正後スケジュール: 2026年10月から70%控除(2年間継続)

これにより、免税事業者のまま活動している方も、取引先から「控除額が減るから値引きしてほしい」といった交渉をされるリスクが、少しだけ緩和される見込みです。

参考:令和8年度税制改正の大綱(22ページ「①および②」)

また、今回の改正で、特別控除額を3億3,000万円から1億6,500万円に引き下げ、税率が 22.5%から30%へと大幅に引き上げられます。

超富裕層に対するミニマム課税が強化されることになります。

一般の方への影響はほぼ無いですが、年間所得が数億円〜数十億円ある超富裕層に対して、税金の払いすぎではなく、「払わなすぎ」を防ぐための最低ラインが強化されることになります。

参考:令和8年度税制改正の大綱(20ページ「②極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の見直し」)

まとめ:今からできるアクションは?

令和8年度税制改正は、「デジタル化への対応」と「投資へのシフト」が鮮明になっています。

☆NISA×暗号資産のバランスを考える:新しい課税制度に合わせた資産配置の見直し。

☆住宅計画の再確認:中古リノベを検討中なら、令和12年までの延長をフル活用する。

☆デジタル化への準備:青色申告特別控除の満額受給のため、早めに会計ソフトなどの導入を検討する。

「知っているか、知らないか」だけで、将来の資産額には大きな差がつくかもしれません。

まずは自分のライフプランにどの項目が当てはまるか、チェックしてみてくださいね!

今回お伝えしたのは令和8年度税制改正大綱をベースにした速報版です。

これから国会を通って正式決定されるため、細かい条件などは今後アップデートされる可能性があります。

情報のアップデートにはぜひ注目ください。