セルフメディケーション税制について
いよいよ今年も所得税の確定申告の季節となりました。
セルフメディケーション税制について、「医療費控除と何が違うの?」という疑問を解消し、どちらを適用すべきか迷われる時のポイントを解説いたします。
セルフメディケーション税制の概要
セルフメディケーション税制とは、健康の維持増進や疾病予防として一定の取組を行っている方が、その年中に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために、対象となる特定一般用医薬品等購入費をを年間12,000円(税込)を超えて購入した場合に、その超えた部分(上限88,000円)について所得控除を受けられる制度です。
分かりにくい文章ですが、とても簡単に伝えると「健康管理をちゃんとしている人が、ドラッグストアなどで市販薬を年間12,000円より多く買ったときに、税金が安くなる制度」となります。
出典:厚生労働省「制度概要」(令和4年1月以降、制度が5年延長され、税制対象医薬品の範囲が拡充されました。)
一定の取組とは、次のものをいいます。
① 保険者(健康保険組合等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
② 市区町村が健康増進事業として行う健康診査
③ 予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
④ 勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
⑤ 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
⑥ 市区町村が健康増進事業として実施するがん検診
参考:厚生労働省「「一定の取組」の証明方法について」
参考:厚生労働省「一定の取組について」
特定一般用医薬品等購入費の範囲
医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアなどで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)等の購入費をいいます。
セルフメディケーション税制の対象となる商品には、購入の際のレシートや領収書等にセルフメディケーション税制の対象商品である旨が表示されています。
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一部の対象医薬品については、その医薬品のパッケージにセルフメディケーション税制の対象である旨を示す識別マークが掲載されています。
対象医薬品等の具体的な品目一覧は、厚生労働省ホームページに掲載の「対象品目一覧」をご覧ください。
参考:厚生労働省ホームページ、セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について、2セルフメディケーション税制対象品目一覧
出典:国税庁、令和7年分確定申告特集、「セルフメディケーション税制とは」
では、あなたにとって「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」どちらがお得になるのでしょうか?
セルフメディケーション税制と、通常の医療費控除は併用することができません。
そのため、以下のフローチャートの通り、まずはセルフメディケーション税制の対象となるかどうかの確認からスタートしてみてください。
セルフメディケーション税制の要件・手続きについて(フローチャート)

厚生労働省:「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」より抜粋作成
セルフメディケーション税制を選択した場合の手順
セルフメディケーション税制を選択した場合の大まかなステップは3つです。
①レシート・領収書の集計
レシートに印字された対象商品の金額を合計します。
※原本の提出は不要ですが、5年間の自宅保管義務があります。
②「一定の取組」を証明する書類の確認
インフルエンザの予防接種、会社の健康診断、人間ドックなどの領収書や結果通知表が必要です(申告書への記載が必要)。
③明細書の作成
「セルフメディケーション税制の明細書」を作成し、確定申告書とともに提出します。
参考:国税庁、令和7年分確定申告特集、「セルフメディケーション税制とは」
セルフメディケーション税制を選択する際の注意点
「病院に行くほどではないけれど、薬局でよく薬を買う」というご家庭にとって使い勝手の良いセルフメディケーション税制ですが、気を付けたい点もあります。
医療機関で支払った「診察代(治療費)」は、対象とはなりません
病院の窓口で支払った診察代や、薬局でもらった処方薬の代金は、残念ながらセルフメディケーション税制の対象には含めることができません。
これらは「通常の医療費控除」の対象になります。
「病院代が多い人は医療費控除」、「市販薬の購入が多い人はセルフメディケーション税制」という使い分けが基本となります。
人間ドックや健康診断の費用も、対象とはなりません
人間ドックや健康診断にかかった費用は、合算することはできません。
ただし、セルフメディケーション税制を利用するには「健康のために検診などを受けていること」が条件です。
健康診断などを受けていれば、その条件をクリアしたことになります。
通常の医療費控除の場合でも、人間ドックや健康診断にかかった費用は「異常が見つかって治療に進んだ場合」のみ対象になるという要件があります。
一方で、セルフメディケーション税制では「健康診断の結果、何も異常がなくても、受けたこと自体が制度利用のパスポートになる」というメリットがあります。
参考:厚生労働省「セルフメディケーション税制に関する Q&A」Q8
「医療費控除」を選択した場合、OTC医薬品は控除に加算してもいいの?
はい。加算しても問題ありません。
通常の医療費控除の対象となるのは、「治療や療養に必要な医薬品」の購入費用です。
もし、医療費控除を選択した場合でも、治療や療養に必要な医薬品の場合は加算しても差し支えありません。
参考:国税庁「医療費控除の対象となる医療費」
つまり、医療費控除を選択する場合でも、セルフメディケーション税制を選択する場合でもドラッグストア等で医薬品を購入した際は、レシートは保管しておきましょう。
申告時期になり、税理士が処理をする際も、資料が揃っていれば適切な選択アドバイスを受けることができます。
セルフメディケーション税制について改めて理解し、ドラッグストア等で医薬品を購入した際のレシートは保管しておきましょう。
監修:ウィルレグルス税理士法人