令和8年8月千葉県大雨災害に伴う「公的支援制度」と「税務上の特例」のご案内
令和8年8月13日からの大雨に伴う災害により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
今回の豪雨を受け、千葉県内の各自治体に災害救助法が適用されるなど、被災された中小企業・小規模事業者の皆様に向けた様々な緊急支援措置(資金繰り支援・税制上の特例等)が開始されています。
復旧に向けて動き出すにあたり、国や県が用意している「資金繰り支援(融資・保証)」の全体像をまとめました。
1.まず確認:自社は「災害救助法の適用地域」ですか?
今回の災害対策では、事業所がある場所が「災害救助法が適用された25市町」に含まれているかどうかで、一部の特別融資や保証制度を使えるかどうかが分かれます。
災害救助法が適用された千葉県内の25市町(令和8年8月14日発表)
鎌ケ谷市、松戸市、柏市、船橋市、白井市、印西市、千葉市、市川市、習志野市、市原市、八千代市、我孫子市、四街道市、佐倉市、東金市、八街市、富里市、山武市、酒々井町、茂原市、大網白里市、館山市、白子町、長柄町、九十九里町
💡 自社が「適用エリア外」にある場合
令和8年8月17日記事執筆時現在、上記の適用地域には入っていない場合も、支援が受けられないわけではありません。
「セーフティネット保証4号」などの一部の特別保証は対象外となりますが、直接的・間接的な被害が生じている場合は、日本政策金融公庫の「災害復旧貸付」や、税務署・県税事務所等での「税務上の優遇・猶予措置」は同様に受けることができます。
参考:経済産業省 令和8年8月13日からの大雨に伴う災害に関して被災中小企業・小規模事業者支援措置を行います、「(参考資料2)日本政策金融公庫災害復旧貸付の概要」
参考:総務省 千葉行政監視行政相談センター「令和8年8月千葉豪雨により被災された方への生活支援 窓口案内」令和8年8月17日時点 第2版
2. 【資金繰り】事業継続・復旧のための融資と保証制度
手元のキャッシュアウトを防ぎ、当面の運転資金や設備復旧資金を確保するための、主な3つの公的融資・保証制度です。
① セーフティネット保証4号(融資額の100%を保証)
対象:救助法適用25市町内に事業所があり、売上高が前年同月比20%以上減少している中小企業
概要:信用保証協会が、通常の保証枠とは「別枠」(無担保8,000万円、普通2億円)で、融資額の100%を保証してくれる制度です。これにより、民間金融機関からの融資が非常に受けやすくなります。
窓口:お近くの民間金融機関(銀行・信用金庫など)、または最寄りの信用保証協会の窓口にてご相談ください。
原則として第三者保証人は不要です。
② 日本政策金融公庫による「災害復旧貸付」
対象:今回の災害により、直接的または間接的に被害を受けたすべての事業者(エリア制限なし)
概要:大雨で建物や機械が壊れたり、売上が減少したりした事業者に向け、政府系金融機関である日本公庫が超低利で貸し付けを行います。
国民生活事業(小規模企業向け):融資限度額 3,000万円(既存融資への上乗せ別枠)/ 金利 2.70%(令和8年8月3日時点・5年返済の場合)
中小企業事業(中堅規模向け):融資限度額 1億5,000万円(別枠)/ 金利 2.75%(同上)
メリット:返済期間は10年以内で、最初の2年間は元本の返済を据え置き、利息のみの支払いにすることも可能です。
窓口:最寄りの日本政策金融公庫の各支店に特別相談窓口が設置されています。
③ 小規模企業共済「災害時貸付」(※共済契約者向け)
対象:救助法適用25市町内に事業所があり、被害や売上減少の証明を受けた共済契約者
概要:小規模企業共済に加入している場合、これまでの掛金の範囲内(最大1,000万円)で、原則として即日・担保/保証人不要で融資を受けることができます。
融資利率:年 0.9%(令和8年8月14日時点)と、非常に低い金利で活用できます。
窓口:最寄りの商工組合中央金庫(商工中金)の各本・支店
参考:経済産業省「令和8年8月13日からの大雨に伴う災害に関して被災中小企業・小規模事業者支援措置を行います」
「(参考資料1)令和8年8月13日からの大雨に伴う災害に関する特別相談窓口一覧」
「(参考資料2)日本政策金融公庫災害復旧貸付の概要」
「(参考資料3)セーフティネット保証4号の概要」
3. 【税金】支払いを待ってもらう、安くする手続き(エリア制限なし)
災害によって大きな損害を受けた場合、申告期限を延ばしたり、手続きによって税負担を軽減したりすることができます。
① 申告・納付期限の延長や納税の猶予
大雨による書類の紛失や業務の混乱で、期限までに申告や納税が難しい場合、申請をすることで最大2か月程度の範囲で期限の延長が認められます。
また、納税を一度にすることが難しい場合も、1年以内の納税猶予が認められる場合があります 。
② 所得税や法人税に関する特例
所有する店舗や工場、オフィス機器、車両などの事業用資産(または事業主様の住宅や家財)に被害が出た場合、確定申告等で適切な税務上の手続きを行うことで、今年度の税金負担を軽減したり、払いすぎた税金の還付を受けられる場合があります。
窓口:
国税(法人税・所得税等):事業所の所在地を管轄する各税務署
地方税(県税・市町村税など):事業所の所在地を管轄する各県税事務所、および各市区町村の税務窓口
4. 被災されたら「何よりも先にスマホで被害写真を!」
もし店舗や倉庫、機材、車両に浸水などの物理的な被害が発生してしまった場合、片付けや修理を始める前に、必ず「被害の様子がわかる写真」をスマホなどで撮影してください。
今後、お見舞い金の申請や、税金の控除手続き、各種緊急ローンを申し込む際には、各自治体が発行する「罹災証明書」または「被災証明書」が必要になります。
この証明書の発行をスムーズにするためには、被害箇所がはっきりと確認できる「全体の写真」や「アップの写真」をたくさん残しておくことが重要となります。
皆様の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます
大雨からの事業復旧期には、手元の資金繰りの確保や、最適な税務上の対応など、非常に迅速で的確な判断が求められます。
ただでさえ後片付けや通常業務への対応で大変な中、これらの複雑な手続きを調べるのは大きな負担かと思います。
鎌ケ谷市と流山市に事務所を構える税理士法人として、被災された地域の皆様に「少しでも実務的なお役に立てれば」という思いから、本情報をまとめさせていただきました。
本情報が事業継続・復興に向けた一助となれば幸いです。
皆様が一日も早くいつもの日常とビジネスを取り戻せることを、所員一同心より応援しております。
監修:ウィルレグルス税理士法人