『背中を見て学べ』に頼らない、自走式組織の作り方|iAC CONFERENCE 2026登壇報告
iAC CONFERENCE 2026に登壇しました
2026年7月14日、東京駅近くのTODA HALL & CONFERENCE TOKYOにて開催された 「iAC CONFERENCE 2026」 に、当法人から税理士の西川とスタッフが登壇いたしました。
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iAC CONFERENCE 2026は、士業事務所におけるAI活用や業務効率化、業務自動化の最新事例を共有するカンファレンスです。
今回のテーマは、最先端の「士業とAIエージェント」の今を知り、明日から実践すること。
会計事務所・税理士事務所・社労士事務所など、専門サービスを提供する多くの事務所が集まり、AI時代の実務や組織づくりについて学ぶ機会となりました。
当法人は、
「『背中を見て学べ』に頼らない、自走式組織の作り方」
をテーマに、NotionとAIを活用した業務改善、社員教育、ナレッジ共有の取り組みについてお話ししました。
今回の登壇は、士業事務所向けの内容ではありますが、そこで扱ったテーマは中小企業の経営にも深く関係しています。
特に、業務の属人化を防ぎたい、社員教育を仕組み化したい、社長や一部の社員に業務が集中する状態を変えたいと考えている中小企業の代表者の方にとって、共通する部分が多い内容です。
中小企業に共通する「人に頼りすぎる」課題
中小企業の現場では、日々の業務が特定の人の経験や判断に支えられていることが少なくありません。
・社長やベテラン社員に聞かないと進められない仕事がある。
・担当者によって業務の進め方が少しずつ違う。
・新人に仕事を教えたいけれど、忙しくて教育に十分な時間をかけられない。
・お客様対応のノウハウが、個人の頭の中に残ったままになっている。
こうした状態は、どの会社でも自然に起こり得ます。
特に中小企業では、一人ひとりの役割が大きく、長く勤めている社員ほど多くの情報や判断基準を持っています。そのため、仕事が回っているように見えても、実際には一部の人に負担が集中していることがあります。
もちろん、経験豊富な人の判断や勘は会社にとって大切な財産です。
お客様との関係性や、現場で積み重ねてきた対応力は、簡単にマニュアル化できるものではありません。
一方で、その知見が個人の中に閉じたままだと、組織として再現することが難しくなります。
担当者が不在のときに確認が止まったり、新しい社員が同じところでつまずいたり、社長やベテラン社員の時間が細かな確認に取られ続けたりします。
中小企業が継続的に成長していくためには、個人の力に頼るだけでなく、業務の流れや判断基準を会社全体で共有できる形にしていくことが重要です。
AIは「人を置き換える道具」ではなく「人を育てる道具」
AI活用という言葉を聞くと、「人の仕事がなくなるのではないか」「自社にはまだ早いのではないか」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、当法人が考えるAIの価値は、人を置き換えることではありません。
むしろ、これまで個人の経験や感覚に頼っていた知識を整理し、必要な人が必要なときに活用できるようにすることにあります。
たとえば、業務の進め方や確認すべきポイントが整理されていれば、新しく入った社員も自分で調べながら業務に取り組みやすくなります。
過去の対応履歴や社内のQ&Aが蓄積されていれば、同じ質問や確認を何度も繰り返す必要が減ります。
社長やベテラン社員が持っている判断基準も、少しずつ共有できる形にしていくことで、組織全体の力になります。
AIは、優秀な社員の代わりになるものではありません。
優秀な人が持っている知見を、会社全体で使いやすくするための補助役です。
特に中小企業では、限られた人数で多くの業務を進める必要があります。
だからこそ、AIを使って業務効率化を図ることは、単に作業時間を短くするだけでなく、社員が学びやすく、動きやすい環境をつくることにもつながります。
「背中を見て学べ」だけでは、これからの組織は育ちにくい
これまで多くの会社では、新人や若手が先輩の仕事を見ながら覚えることが当たり前でした。
現場で学ぶことには、今でも大きな価値があります。
お客様との距離感、判断の優先順位、状況に応じた対応の仕方など、文章だけでは伝えきれないことも多くあります。
ただ、「背中を見て学べ」だけに頼る教育には限界もあります。
教える人によって伝える内容が変わったり、忙しい時期には教育が後回しになったり、質問する側が遠慮してしまったりすることがあります。
また、同じ確認が何度も発生すると、教える側の負担も増えていきます。
特に中小企業では、日々の業務を進めながら社員教育も行う必要があります。
教育の仕組みが整っていないと、せっかく採用した人がなかなか業務に入れなかったり、社長や一部の社員に確認が集中したりします。
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これからの組織づくりでは、人が教えることに加えて、情報そのものが人を助ける状態をつくることが大切です。業務手順や判断基準が整理され、必要な情報にたどり着きやすい状態があれば、社員は自分で確認しながら少しずつ業務を進められるようになります。
つまり、教育を「人の頑張り」だけに頼るのではなく、「仕組み」として支えることが、これからの中小企業にとって重要になります。
当法人が取り組んでいること
当法人では、所内の情報をNotionに集約し、業務の進め方や確認事項を探しやすくしています。
AIも活用しながら、担当者だけに知識が偏らないよう、誰でも業務に取り組みやすい環境づくりを進めています。
もともと当法人では、2つの事務所の合併や未経験者採用を進める中で、業務の進め方の違いや、教育の属人化、知見が個人に閉じてしまう課題が見えてきました。
同じ税務・会計業務であっても、事務所ごと、人ごとに進め方が少しずつ違うことがあります。
これまでの経験や慣習に支えられている部分も多く、それ自体が悪いわけではありません。
ただ、組織として一緒に仕事をしていくためには、どこに情報があり、何を確認すればよいのかが分かる状態にしていく必要がありました。
そこで、業務に必要な情報をNotion上に整理し、日々のタスクや顧客情報、社内の確認事項をできるだけ一か所で見られるようにしています。
さらにAIを活用することで、必要な情報を探しやすくし、質問や確認にかかる時間を減らす工夫をしています。
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これは、特別なシステムを一度入れて終わりという取り組みではありません。
現場で使いながら、分かりにくいところを直し、足りない情報を追加し、少しずつ使いやすくしていくものです。
今回の登壇では、完成された成功事例というより、当法人が実際に悩みながら進めている組織づくりの過程をお話ししました。
最後に
今回のiAC CONFERENCE 2026への登壇を通じて、AI活用は単なる効率化ではなく、組織づくりそのものに関わるテーマだと改めて感じました。
当法人も、まだ取り組みの途中です。
NotionやAIを使えば、すべてがすぐに解決するわけではありません。
大切なのは、現場に合った形で情報を整理し、社員が使いやすい仕組みに育てていくことです。
中小企業の経営では、日々の業務に追われる中で、教育や情報共有の仕組みづくりが後回しになりがちです。
しかし、業務の属人化を防ぎ、人が育つ環境を整えることは、会社の将来に向けた大切な投資です。
「人に頼る経営」から、
「人が育つ仕組みを持つ経営」へ。
AI時代の中小企業経営において、その一歩を考えるきっかけになれば幸いです。
監修:ウィルレグルス税理士法人