【税務調査のいま】AI活用で追徴税額が過去最高に!?私たちが今すぐやるべき対策とは
以前にも当事務所のブログでご紹介していますが、最近、ニュースやビジネスの場面で、AI(人工知能)という言葉を本当によく耳にするようになりました。
関連記事:AI活用で、過去最高額の追徴税額(国税庁 令和6事務年度の法人税等の調査事績を公開)
実は私たちのビジネスにとても身近な税務署(国税庁)でも、このAIを使ったチェックが本格的に行われています。
「AIなんて、まだ未来の話でしょ?」
そう思われるかもしれませんが、実は国税庁のAI活用は私たちが想像する以上に今まさに、ものすごい勢いで本格化しているのです。
実際、国税庁が公表した直近の税務調査等による追徴税額(追加で納めることになった税金)は、以下のような結果を示しています。
所得税:1,431億円(過去最高)
法人税・消費税:3,672億円(直近10年で最高)
相続税:962億円(公表を始めた平成28年以降で最高)
参考:国税庁「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」
この実績の背景には、国税庁が進めるAIによる申告データ分析の高度化が大きく関わっています。
今回は、国税庁のAIが何を検知しているのか、令和8年に予定されている大きなシステム変更による私たちへの影響は何か、そして私たちはどう備えるべきなのか解説していきます。
1. 国税庁が導入している”2つのAI”
国税庁では、主に予測AIと生成AIという2つの最新技術を組み合わせて、税務行政の高度化を進めています。
申告漏れをあぶり出す予測AI
国税庁は保有する膨大なデータを予測AIによって分析し、申告漏れのリスクを判定してスコア化する予測モデルを構築しています。
この予測AIの判定結果は、なんと全国すべての国税局や税務署で活用されています。
AIの判定結果を踏まえ、職員が資料と併せて最終的な調査の要否や優先度を判断し、深度ある税務調査を実施しているのです。
業務を劇的に効率化する生成AI
職員の事務処理やサポートにもAIが取り入れられています。
滞納整理においては、生成AIが滞納者のこれまでの事績を要約し、引き継ぎや優先案件の選定に活用されています。
令和8年度中には、情報漏えいを防ぐための安全な独自のAI環境を整える予定です。これにより、調査で集めた外国語の書類の翻訳や、会社ごとに形式がバラバラな取引データを一瞬できれいに整理・統合する作業などが検討されています。
納税者向けにも、日常の言葉から質問意図を理解して答える”生成AI型チャットボット”の導入が検討されています。![]()
参考:国税庁「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」
国税庁「国税庁レポート2026」
2. AIが検知する不自然なズレ(異常値)
では、予測AIは申告書のどのような”ズレ”を不審なパターンとして検知しているのでしょうか。
具体的には、以下のような観点に特化した予測モデルが稼働しています。
法人税における不正申告パターン判定
過去の膨大な調査実績や不正事例をAIに学習させ、提出された決算書や申告書から不正のパターンを検出します。
◎ 売上(売上除外)のズレ
同業他社や過去の自社データと比較して、売上高や利益率が不自然に低くなっているパターンを検知します。
実際、AIが売上にリスクがあると判定した法人を優先的に調査した結果、多額の売上隠しを把握できたケースが報告されています。
◎ 経費・仕入原価のズレ
通常想定される割合を超えて、特定の経費科目(消耗品費や旅費など)や製品の仕入原価が不自然に膨らんでいるパターンを検出します。
所得税における不正還付リスク判定
「払いすぎた税金を戻してほしい」という還付申告があった際、過去の不正な還付事例の特徴と似ている申告書をAIが自動的に検出します。
これらAIの判定結果と税務職員の厳格な審査を組み合わせることで、精度の高い申告チェックが行われています。
参考:国税庁「国税庁レポート2026」
3. 税務署の頭脳 ”KSKシステム” と、令和8年秋のシステム更改
このAIによる分析を支えるのが、国税総合管理(KSK)システムという巨大なコンピューターシステムです。
これは全国の国税局と税務署をネットワークで結び、地域や税目を越えた情報の一元的な管理を行うことで、税務処理をスムーズにするために導入されたシステムです。
このKSKシステムに蓄積されたデータがあるからこそ、AIは高度な分析ができていたのですが、令和8年9月にこのシステム自体が根本から生まれ変わることになりました。
このシステム更改により、以下のような大きな変化が訪れます。
紙からデータへの移行
これまで書面(紙)で管理されていた情報がデジタルデータ化され、システム内で管理されるデータ量が大幅に増加します。データが増えることで、AIの予測精度はますます向上するとされています。
縦割りシステムの解消
現在は税金の種類(所得税、法人税、消費税など)ごとにバラバラになっているデータベースが1つに統合されます。
これにより、法人税と消費税の申告内容の矛盾といった、税目をまたいだ数字のズレもAIが一瞬で検出可能になります。
内部事務の完全センター化
令和8年中に全国すべての税務署で、申告書の入力や還付金の処理といった裏方の事務作業が専門の業務センターへ一括集約されます。
税務署の職員が事務処理から解放され、より本格的で深い税務調査(チェック)に多くのマンパワーを投入できる体制が整います。
参考:国税庁「納税者サービスの充実と行政効率化のための取組」
4. 私たち事業者はどう備えればいい?
AIの精度が上がり、令和8年のシステム更改によってチェックの網の目が細かくなる…
こう聞くと「税務調査が恐ろしいものになるのでは」と不安になるかもしれません。
しかし、心配する必要はまったくありません!
なぜならAIがチェックしているのは、あくまで実際の取引データとおかしな矛盾(異常値)だからです。
だからこそ、”普段の会計”をきちんとやりましょう!
AI時代を安心して乗り切るための最大の、そして唯一の対策は、極めてシンプルです。
それは普段の会計(日々の記帳)を、ルール通りに、ため込まずに、きちんと行うこと。
毎日のお金の動きを正しく、タイムリーに記録していれば、AIにどんな角度から分析されても何も恐れることはありません。
むしろ、いつ調査に選ばれてもすぐに説明ができる、極めて健全でクリーンな経営状態をアピールする強力な武器になります。
「毎日コツコツ帳簿をつけるのって、自社だけでは大変そう……」
「今のうちの処理で、本当にAIに引っかからないかな?」
そう不安に思われたら、いつでも当法人にご相談ください。
ウィルレグルス税理士法人では松戸市・流山市・鎌ヶ谷市を中心に、豊富な実務経験を持つ税理士が、普段の会計をしっかりと、そして優しくお手伝いします。
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監修:ウィルレグルス税理士法人